日本の景気指標の推移を見てみる1~消費、雇用、生産関連指標~

 最近、経済指標を見ていると市場予想を下回ったり、関連指標の悪化が目立っています。今日は、久しぶりに日経平均が200円以上下がりました。最近の指標で気になったのは消費支出です。


消費の冷え込みが鮮明に、4カ月連続マイナス――総務省

http://www.zaikei.co.jp/article/20160730/319421.html

 総務省が発表した6月の家計調査によると、1世帯(2人以上)の消費支出は26万1,452円で、物価変動を除いた実質では前年同月比2.2%減だった。減少幅は5月の1.1%よりも大きく、4カ月連続のマイナスとなった。

 また、同省による6月の全国の消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食品を除いた指数が103.0となり、5月よりも0.1%下がり、前年同月を0.5%下回った。前年同月比では4カ月連続のマイナス。円高進行と絡んで、さらに物価が下がることが予想される。

……引用終わり

 消費支出の推移を実は初めて見たのですが、2014年4月の消費税増税以来、2015年5月の1回のほか3%以上の上昇はなく、ほとんどの期間水面から顔を出すことがない息苦しい消費状況が推移からわかります。これをみてアベノミクスが成功しているなんて、事実を完全に無視しています。


 ただし、雇用関連の指標だけは一貫して改善傾向が続いていることも付け加えておく必要があるでしょう。

 安倍政権への表向きの批判があまり出ないのは、株高のための金融政策に加えて、なんだかんだいって最低賃金も微増し、非正規が多いとはいえ雇用が確保されているというのが大きいと思います。

 特に、若者が安倍政権を支持する理由として考えられるのは、新卒採用の有効求人倍率ですが、安倍政権下では一貫して改善傾向にあります。


ワークス採用見通し調査 2015.12.17 来年度の新卒採用はさらに増加の見通し

http://www.works-i.com/pdf/151217_saiyou.pdf

2017年卒対象の大学生・大学院生の新卒採用見通しは、「増える」が13.4%、「減る」が4.2%と、「増える」が「減る」を上回り(+9.2%ポイント)、大学生・大学院生の新卒採用に対する採用意欲が高かった2016年卒採用(+8.7%ポイント)よりも、採用意欲はさらに高くなる見通しである。

……引用終わり。


 ただし、雇用の指標はほかの指標と比べてやや遅れて変動することもあり、2016年に入って急激に円高が進み、円安の恩恵を受けていた輸出企業の利益が減り始めていることや、各種指標の悪化を考えれば、2017年度卒が求人のピークで、2018年度卒からは求人が大きく減り始めると予想できます。そういう意味では、今年の就活生は非常に恵まれた状況にあると言えます。

 採用が楽なら、若者が政権に文句を言うのは奨学金くらいだということで、この点で野党の訴えている点は悪くなかったと思います。

ついでに消費者物価指数と国内企業物価指数を見てみましょう。

 どちらも2014年4月の消費税5%から8%への増税を受けて上がるも、その後はデフレに逆戻りしていることがわかります。

鉱工業指数と景気動向指数の推移も見てみました。

 2014年初までは生産が回復して在庫が減っている正味の経済成長が実現していたものの、それ以後は生産が減少し、在庫が積みあがっている様子がはっきりと見て取れます。日本の景気が停滞していることは明らかです。景気動向指数も同様の傾向を示しています。

 では、なぜ雇用が改善しているのに消費や賃金が減少し、景況感も悪化するという奇妙な現象が起こるのでしょうか? 最大の原因は、景気変動ではなくて、生産年齢人口および日本の総人口の減少というマクロの人口動態にあります。


生産年齢人口の推移


 生産年齢人口が減ると働き手が減りますが、総人口は生産年齢人口程大きく減らないので、求人に対して働き口が増えます。これが雇用の改善を生み出します。

 他方で、もっとも消費が旺盛な生産年齢人口が減少し、総人口も減少するとなれば、経済規模は縮小しますから、当然各種指標は悪化します。

 アベノミクスがどうこういう人がいますが、日本最大の問題は人口動態であって、景気対策は人口問題をなんとかする方向でなければ効果を発揮しないでしょう。

 安倍政権が何をしようが、政権交代が起ころうが日本の潜在成長率は0%近くに低下しており(下記図参照)、経済成長はできません。経済成長なしで、規模が縮小しながらもなんとかやっていく方法を探して、移行しなければならないという流れはもう止められません。その場しのぎの対応で問題が解決するはずがないことは明らかです。


 しかし、いや、やはりというべきか、安倍政権は参議院選挙前から28兆円の経済対策を打ち出しました。けれどその大部分がリニア計画の前倒しなどの事業規模で占められていて、下の図を見ると実質の財政出動は28兆円の3分の1あるいは4分の1ほどです。


安倍首相の28兆円経済対策、バブル崩壊後から続く長い轍を踏む運命か

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-01/OB2XZY6TTDS701

 28兆円の経済対策で日本経済を再生させようという安倍晋三首相の「大胆な」計画には、先人たちがたどった道筋が待ち受ける。1990年のバブル崩壊以来、日本が財政出動で経済対策を打つのはこれで26回目。その効果には疑問符が付く。

  日本は少なくとも1993年以来、毎年補正予算を組んでいる。だが、この追加的な歳出をもってしても6回にわたるリセッション(景気後退)と慢性的なデフレ、債務の膨張と急速な高齢化に見舞われた。日本経済はこれらをいまだ脱却できずにいる。

  今回の経済対策について、アナリストの一部からは時間稼ぎにはなるかもしれないとの声が上がっているものの、景気動向を劇的に変えるのに十分だと確信するアナリストはほとんどいない。

  過去の例に倣うなら、当初の発表は市場をにぎわすが、追加的な財政出動が日本経済の根本的な問題解決にほとんど役立たないことが実感されるにつれて成長は急速にしぼんでいく。ゴールドマン・サックスによると、1990年以降25回の経済対策を調査したところ、このうち18回で政府の承認後1カ月以内に金融市場は当初の上げを消していた。

  安倍首相の経済対策に異論を唱える向きは少なくない。元財務官で昨年まで国際通貨基金(IMF)副専務理事を務めた篠原尚之氏は、すでに国内総生産(GDP)の2倍以上に上っている債務をさらに膨らませるのではなく、減少する労働力や保護産業など難しい構造問題への対処により注力するべきだと主張する。

  篠原氏は、日本経済の歴史を見ればこれまで多くの経済対策が繰り返されてきたが、最終的な結果として潜在成長率に大きな影響を与えることはなかったと指摘した。

  今回の経済対策を疑う別の理由もある。発表されたうちのどれだけが経済に伝わる新たな支出、いわゆる「真水」なのかをエコノミストらは知りたがっている。

  元日本銀行理事の早川英男氏によると、今回の経済対策のうち純粋に新たな支出は28兆円という数字が示すよりもはるかに少ない公算が大きい。

  早川氏は日本に財政出動による経済対策は全く必要ないとの見方で、必要なのは生産性の向上と、それによる潜在成長率の引き上げだと指摘する。

  安倍首相は2012年末、経済改革によるデフレ脱却を掲げて政権の座に就いた。そこで日本が安定した経済基盤の回復を成し遂げる象徴として、新たに2%のインフレ目標が設定された。それ以降、日本経済は5四半期でマイナス成長となり、4-6月は急減速したと見込まれる。物価の上昇は止まり、再び下がり始めた。

  7月の参院選圧勝で波に乗る安倍首相は、13年に開始した戦略、つまり極端な金融緩和と財政出動に大きく打って出る構えだ。少なくとも発表当初は、この計画は機能しているようだ。円は下落し、輸出企業の利益は増加、株価は上昇した。だがその後、輝きは失われている。

  バンク・オブ・シンガポールのチーフエコノミスト、リチャード・ジェラム氏は「日本は2010年代の問題に1990年代の処方箋で対処しているように思われる」と述べ、「短期的な需要刺激策で経済に恩恵があるとは実際思わない」と語った。

……転載終わり


 今日は消費、雇用、生産関連指標と、その背後にある人口動態について考えてみました。明日は引き続き金融関連の指標を見てみます。


では、また あした

にんじんスコール注意報

空からにんじんが降ってきてなにかが変わったらいいなと願っているブログ。 ……というのは冗談。 第三次世界大戦に関することや世界統一政府に向かう陰謀シナリオなどを予想したり、時事ネタなどを書いています。

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