楽観するほど悲惨な結果をもたらすのが最近のトレンド~イタリア経済2~
イタリアでは、今年の初めに取り付け騒ぎがありました。
http://blog.livedoor.jp/wisdomkeeper/archives/51978478.html
その後、7月にも取り付け騒ぎが起きています。
http://blog.livedoor.jp/wisdomkeeper/archives/51989497.html
こうした状況で、銀行の資本増強を目指す動きが起こりました。
欧州銀に16.7兆円の救済資金が緊急に必要-ドイツ銀主任エコノミスト
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-10/OA4F2G6S972801
欧州域内の苦境にある銀行、特にイタリアの銀行の資本増強に向けて1500億ユーロ(約16兆6800億円)の救済資金が緊急に必要だとドイツ銀行のチーフエコノミスト、ダービット・フォルカーツランダウ氏が、独紙ウェルト日曜版とのインタビューで指摘した。
同氏は「欧州の病状は深刻であり、一刻も早く問題への対応を開始しなければならない。さもなければ、不幸な出来事が起きかねない。私はこの世の終わりを説く悲観論者ではない。現実主義者だ」と主張した。
イタリアの銀行は3600億ユーロ相当の不良債権で財務が圧迫されており、英国民投票のEU離脱の選択を受けて株価が再び急落する状況で、イタリア政府は銀行支援策をめぐり欧州当局の意向を探っている。欧州中央銀行(ECB)の元理事で、現在は仏銀ソシエテ・ジェネラルの会長を務めるロレンツォ・ビニスマギ氏は6日、イタリアの銀行危機が欧州全体に波及する恐れがあり、混乱拡大を回避するために銀行への政府支援を制限するルールを見直すべきだと語った。
フォルカーツランダウ氏はインタビューで、「2008年のような金融危機の再発は予想していない。銀行は今やはるかに安定性を増し、自己資本も増強されている。われわれが今回直面しているのは、緩慢で長い下降スパイラルだ」と分析した。
同氏はさらにドイツ銀の株式10万株を最近取得したことを明らかにし、同行の先行きを楽観していると述べた。
……転載終わり
ちなみに、イタリアの銀行の状況は次のようになっています。
伊モンテ・パスキの資本不足浮き彫り-欧州銀ストレステスト結果
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-30/OB3TGX6KLVRH01
欧州連合(EU)の銀行監督機関である欧州銀行監督機構(EBA)は29日、主要銀行の最新のストレステスト(健全性審査)の結果を公表した。イタリアの銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナが審査対象の主要51行で唯一、今後3年間で深刻なリセッション(景気後退)に見舞われるシナリオの下で、そのショックを吸収するための資本バッファーが吹き飛ぶ最悪のパフォーマンスとなった。
欧州では苦境に見舞われたイタリアの銀行の危機的な状況を封じ込めようとしてるが、同国財務省は29日、公的な支援は不要だとの立場を表明した。
同シナリオでモンテ・パスキの普通株等ティア1比率はマイナス2.4%に落ち込んだ。審査されたイタリアの銀行5行のうち、ウニクレディトの同比率が7.1%と2番目に悪い結果。
モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行
Photographer: Alessia Pierdomenico/Bloomberg
今回のテストは従来と異なり、最低合格ラインは設けられていない。全対象行の3分の2余りが8%を上回る普通株等ティア1比率を確保した。モンテ・パスキに次いでパフォーマンスが悪かったのはアイルランドのアライド・アイリッシュ銀行の4.31%。
ドイツ銀行の普通株等ティア1比率はこのシナリオで7.8%となり、英バークレイズの7.3%を上回った。
モンテ・パスキは29日、最大50億ユーロ(約5700億円)の増資に踏み切る計画だ。
……転載終わり
そのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行の株価の推移です。見事に下がり続けています。
5年では、最高値が11ユーロあったのに、いまは0.25ユーロ。
ここ1年で見ても、2ユーロの株価が0.25ユーロ、8分の1になっています。
しかし、銀行を公的資金で強化する政策の前に投資家に負担させようという方針を、EUの司法裁判所が支持していて、問題が解決されたとは言えません。
銀行救済のベイルイン規則、EU司法裁判所が支持-イタリアに逆風
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-19/OAK48D6JTSEB01
欧州連合(EU)の最高裁判所であるEU司法裁判所は19日、域内の銀行救済に際し納税者負担を防ぐEUの指針を支持した。国内銀行危機で一部の債券保有者を保護したいイタリアにとっては逆風が強まった。
EUの欧州委員会は2013年に、公的資金注入の前に投資家が損失を負担するベイルインを盛り込んで規則を更新した。司法裁の判断は欧州委の立場を強める。
司法裁は「株主と劣後債保有者による負担共有を、銀行の公的支援を欧州委が承認する前提条件とすることは、EU法に矛盾しない」と結論付けた。司法裁の判断は拘束力を持ち、上訴はできない。
モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナなど国内銀行への資本注入を模索しているイタリア政府は難しい状況に追い込まれた。銀行の劣後債保有者の多くが一般の家計で10月に政治改革をめぐる国民投票を控えていることもあり、政府は保護したい考えだ。
司法裁の判断が明らかになった後にイタリアの銀行株は下落。モンテ・パスキ株は一時7.1%安となった。
欧州委は司法裁の判断を歓迎。カルドソ報道官は「負担共有とベイルイン規則は納税者と公的財政を守り、EU全域に公平な環境を確保するものだ」とコメントした。
……転載終わり
2日前から書いているように、政治、経済、社会のあらゆる面でイタリアはいま正念場にあると言えそうです。
わたしの読みでは2カ月以内にイタリアでは、前述したモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(長くて覚えられないのでコピペしています)が破たんし、それがイタリアの債務危機を引き起こし、ヨーロッパの銀行全体に波及して、明日語ることになるドイツ銀行に波及し、ドイツ銀行が倒れると、ドイツ銀行が融資していた中国の関連企業も連鎖倒産を始めて、世界恐慌が現実のものになる可能性があります。
イタリアの危機については日本ではほとんど触れられていない現状があって、わたしなんかは逆に危機感を強めています。
よくいうじゃないですか。「地震は忘れたころにやってくる(例えば、オリンピックで浮かれているときにローヤリティー諸島南東方でM7.6地震が起きるとか)」離脱しないと思っていたらイギリスのEU離脱とか、まさか改憲派が3分の2とるわけがないと楽観していたら3分の2とられるとか。いま世界で起きていることは常識から大きくずれているのです。
第一次世界大戦だって、セルビアとオーストリアの戦争なんていう小規模なものから始まりました。イタリアから全世界に広まるのはグローバル化の現代、あっという間です。1週間もかからないかもしれません。
これから書きますが、すでに世界恐慌に至る連鎖のラインは完成されつつあります。それはこれから明らかにしていくつもりです。
では、また あした
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