銀行のビジネスモデルは2度破綻する~マイナス金利がもたらす第2のリーマンショックとその構造~

 本日発表されたアメリカの関連指標は軒並み予想を下回り、利上げの確率はかなり下がったと言えるでしょう。

http://zai.diamond.jp/list/fxnews/detail?id=201734#d201734

【経済指標】

・米・8月小売売上高:前月比-0.3%(予想:-0.1%、7月:+0.1%←0.0%)

・米・8月小売売上高(自動車除く):前月比-0.1%(予想:+0.2%、7月:-0.4%←-0.3%)

・米・先週分新規失業保険申請件数:26.0万件(予想:26.5万件、前回:25.9万件)

・米・失業保険継続受給者数:214.3万人(予想:215.0万人、前回:214.2万人←214.4万人)

・米・8月生産者物価指数:前月比0.0%(予想:+0.1%、7月:-0.4%)

・米・8月生産者物価コア指数:前月比+0.1%(予想:+0.1%、7月:-0.3%)

・米・8月生産者物価指数:前年比0.0%(予想:+0.1%、7月:-0.2%)

・米・8月生産者物価コア指数:前年比+1.0%(予想:+1.0%、7月:+0.7%)

・米・9月NY連銀製造業景気指数:-1.99(予想:-1.00、8月:-4.21)

・米・9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数:12.8(予想:1.0、8月:2.0)

・米・4-6月期経常収支:-1199億ドル(予想:-1210億ドル、1-3月期:-1318億ドル←-1247億ドル)

・米・7月企業在庫:前月比0%(予想:+0.1%、6月:+0.2%)

・米・7月企業売上高:前月比−0.2%(6月:+1.0%)

・米・8月鉱工業生産:前月比-0.4%(予想:-0.2%、7月:+0.6%←+0.7%)

・米・8月設備稼働率:75.5%(予想:75.7%、7月:75.9%)


 とはいえ、今日の本題はFRB9月利上げではありません。

 今日からはいつ金融恐慌が起こるかについて考えるのではなく、なぜ起こるのか、その背後にはどういった構造があるのかということについて書いていくつもりです。

 まずは次の記事を見てください。


地銀の6割、9年後には本業で赤字 金融庁が試算

http://www.asahi.com/articles/ASJ9G5J3RJ9GULFA019.html?ref=rss

約10年後、全国の地方銀行の6割は貸し出しや投資信託の販売などの「本業」で赤字に転落する、という試算を金融庁がまとめた。人口減や日本銀行のマイナス金利政策による厳しい経営環境を浮き彫りにした内容だ。金融庁は、経営統合を含めた持続可能な経営手法を早期に検討するように求めている。

 同庁が全国の地銀106行の収益見通しを試算した。人口予測から貸し出しと預金の動向を推計。働く人が減り、貸し出しが徐々に減っていくため、貸出金利の収入から預金金利や経費を引いた「利ざや」が縮小。9年後の2025年3月期で赤字の地銀は6割を超えるとみている。15年3月期は4割が赤字だった。

 地銀は現在、本業の悪化を国債や株式の売却益などで補っており、「本業」の赤字だけでは経営不安に直結しない。ただ、マイナス金利政策で貸出金利の低下は続いている。金融庁は地元の中小企業への積極的な融資や経営支援を強化して金利低下を食い止めるなど、持続的な経営手法を確立するように求めている。「このままでは地銀の経営は成り立たず、再編も選択肢だ」(幹部)としている。

……転載終わり


 この記事では、大規模な再編がどうとか言っていますが、問題の本質はそんな単純なものではありません。

 いま、世界の銀行の利益構造は破綻しつつあります。マイナス金利を導入したのが主要な原因です。ヨーロッパでは2015年からマイナス金利を導入しましたが、その後ヨーロッパの収益構造は改善せず、ドイツ銀行の危機が騒がれ、イタリアでは取り付け騒ぎが起きました。


 今回は銀行のビジネスモデルがどういうものであるかということを説明します。

 これまで銀行は、預金者から低金利で借りて、企業や個人に高金利で貸し出し、利ザヤで儲けることで利益を出していました。

 まず、銀行が預金者から預かるお金、預金の金利から確認してみましょう。いまの銀行の預金金利はメガバンクすべてが同じ数字で、普通預金が年0.001%(10万円預けて1円)、定期預金でも0.01%(1万円預けて1円の金利)となっています。

 少し前までは普通預金が0.02%(1万円預けて2円の金利)前後でおおむね安定していましたが、マイナス金利が導入されてから預金金利は下がりました。このレベルだと、10万円以下の預金には金利が付かないことになります。

 つまり、いまの銀行はほとんど金利を預金者に払うことなくお金を借りているわけです。


 次に貸出を見てみましょう。

 下の図を見ると、バブル崩壊後の日本の長期金利はおおむね1~2%前後で推移していたことがわかります。

http://xn--nckg3oobb2212cn2ncxv5vjpv2gupga998r.com/prospect/

 これまで銀行はお金を貸すと大体1~2%の金利で貸し出し、0.02%の金利で返していました。銀行を維持するための諸費用が1~2%以内であれば、差し引きで利益が出ることになります。実際には銀行の利益の大半は数年前から銀行が保有していた国債などの債権の利子でした。

 つまり、銀行は国債などを買って、その利払いが利益になっていたわけです。

 当時はまだ国債を買えば利益が出たので銀行は国債を保有していました。しかし、日銀総裁が黒田総裁になってから、日銀は国債を買いとるようになり、長期金利が低下しました。

 そして、今年1月29日に国債の一部にマイナス金利が適用されるようになりました。

 この結果なにが起こるのでしょうか? 

 もう一度、預金金利といまの金利を確認しておきましょう。メガバンクの預金金利は普通預金が年0.001%(10万円預けて1円)、定期預金でも0.01%(1万円預けて1円の金利)です。

 そして、いまの日本の10年物国債金利はマイナス0.04%です。

 いま、国債の金利よりも預金金利の方が高いので、銀行はプラス0.001%で借りて、マイナス0.04%の国債を買うと、逆ザヤが発生するという状況に陥っています。

 もちろん、銀行は国債だけを買うわけではありません。企業にはちゃんとプラスの利子をつけて貸し出すので、企業への貸し出しでは利益がでます。しかし、これまでのように国債を保有していれば利益が出るという構造は成立しません。


 以前書いたように、日本経済は人口動態の問題もあって、これ以上拡大する余地がありません。潜在成長率はほぼ0%なのです。

 経済が成長しないのに企業への貸し出しが増えるはずがないことは誰でもわかります。加えて、いま企業は377兆円という巨額の内部留保を蓄えていますから、何かあっても銀行から借りるのではなく自己資金で持ちこたえることができます。というより、いま企業が内部留保を以上にため込んでいるのは、そのなにかが起きるかもしれないと、つまり将来への不安が企業に内部留保を蓄えさせているのです。

 企業が自分で使える資金を持っていれば、銀行は資金を貸し出す先がありません。そこで中小企業や個人に資金を誘導しようとしてきましたが、すでに述べたように日本の潜在成長率は極めて低く、貸し出しを伸ばすのには限界があります。

 そのうえ、国債の金利はマイナスで、今後もマイナス幅が広がる可能性があります。もはや国債を保有して儲けるということもできなくなるということです。


 まとめましょう。日本経済が縮小し、企業は内部留保をためて銀行から資金を借りようとしないので、銀行の貸し出しは伸び悩み、加えて国債の金利が低下して長期金利も下がる。

 こうした事態は長続きしないでしょう。銀行のビジネスモデルはもはや破綻しているといっても過言ではありません。収益をあげたくても、収益をあげようがないのです。

 この構造が、そう遠くないうちに日本に金融危機をもたらす原因となるでしょう。それは冒頭に転載した記事の結論のように、大規模統合をすれば解決するという性質のものではないのです。わたしはこれが第2のリーマンショックの構造上の原因になると考えています。しかし、もう逃れる方法はないのです。

 「いや、手数料を取ればいいのではないか」という意見もあるでしょう。手数料で利益を得る銀行のモデルも存在しています。しかし、そのモデルも構造上破綻せざるを得ないのです。それこそが、リーマンショックが起きた構造上の原因なのです。

 明日はほかに書くことがなければリーマンショックがなぜ起こったのかを説明したいと思います。

にんじんスコール注意報

空からにんじんが降ってきてなにかが変わったらいいなと願っているブログ。 ……というのは冗談。 第三次世界大戦に関することや世界統一政府に向かう陰謀シナリオなどを予想したり、時事ネタなどを書いています。

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