ドイツ銀行の株価続落から始まる世界恐慌について考えてみる

 連休だったので経済関連は後回しにしてきましたが、今日はやっと予定していた金融の話に戻れそうです。

 今日は最近のドイツ銀行の株価下落について話そうと思います。

 このブログでは、イタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行の暴落の話はしましたが、ドイツ銀行の話をするのは実は初めてです。

 ドイツ銀行も、イタリアの銀行同様、株価が下落しています。そのチャートがリーマンショック前のリーマンに似ていると一時散々騒がれたのですが、危機はこれまで表面化していませんでした。

 しかし、先日、米司法省が住宅ローン担保証券(RMBS問題)に関する法的問題で、最大で140億ドル(約1兆1425億円)を支払う可能性が出てきました。これはドイツ銀の1-6月(上期)末の法的問題引当金55億ドルの2倍以上にあたり、ドイツ銀行の自己資本を毀損すると思われます。そのせいで、ドイツ銀行の株価が先週金曜日と今週月曜日で下げて、いま2月の水準にまで低下しています。つまり、危険水準にあるということです。


ドイツ銀株が続落-米当局の制裁金などが資本目減りさせる可能性

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-19/ODR4J66VDKHV01

19日のフランクフルト市場でドイツ銀行株は続落。住宅ローン担保証券(RMBS)販売をめぐり米当局の調査など法的問題からのコストで資本が毀損(きそん)される可能性をアナリストらが指摘している。

  株価は一時2.6%安となり、フランクフルト時間午後2時3分現在では0.4%安。年初来の下落率は47%となった。米司法省がRMBS問題で交渉を開始し140億ドル(約1兆1425億円)の支払いを求めた。これはドイツ銀の1-6月(上期)末の法的問題引当金55億ドルの2倍以上。

  ソシエテ・ジェネラルのアナリスト、アンドルー・リム氏は19日のリポートで、米当局との合意での支払額が引当金の範囲に収まってもドイツ銀は「大幅な資本不足に直面するだろう」とし、合意額が54億ドルを上回れば同問題だけでも増資が必要になると指摘した。

  ドイツ銀の広報担当、クリスチャン・シュトレッカート氏はアナリストの想定についてコメントを控えた。

……転載終わり


 ちなみに、ドイツ銀行はドイツのGDPの20倍といういかれたデリバティブを保有しており、なんらかの理由で損が拡大すれば、連鎖的に暴落する危険があります。

 デリバティブの金額については、少し前の記事ですがこう書かれています。


ドイツ銀:次のリーマン・ブラザーズか、レバレッジ比率は47倍の推測

http://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20160509_00420160509?rpc=223

ドイツ銀行が保有するデリバティブ(金融派生商品)の残高が55兆6000万ユーロ(約6805兆円)に上るといわれており、これはドイツの国内総生産(GDP)2兆7000万ユーロの約20倍に相当する。

 世界同時不況が発生した2008年に破綻したリーマン・ブラザーズが保有したデリバティブの残高は35兆米ドル(約3762兆円)だった。

 シティバンクやモルガン・スタンレー証券(MS)、ゴールドマン・サックス証券(GS)など世界大手6金融機関のレバレッジ比率は24倍(平均)に対し、ドイツ銀は47倍になっていると推測されている。大手6行の投資商品の損失が4%以上になった場合、破綻に陥ると試算されている。ドイツ銀の場合、投資損失が3%に近づくと破綻するとみられ、これだけのレバレッジ比率を抱えることが自殺行為だと警告された。また、ドイツ銀が破綻した場合、世界の金融危機を引き起こすとも警戒されている。

 なお、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、デリバティブが殺傷能力の高い危険武器だと警告していた。

……転載終わり


 ドイツ銀行はすでに資本不足を起こしています。ストレス結果については以下の記事を読んでください。

ドイツ銀には20億ユーロが不足、ゴールドマンがストレステストを分析

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-08/OBLG5VSYF01Z01

ドイツ銀行の資本不足は20億ユーロ(約2300億円)に達すると、ゴールドマン・サックス・グループが分析結果を明らかにした。ゴールドマンは欧州銀行監督機構(EBA)が先月公表したストレステスト(健全性審査)結果に基づいて分析した。

  世界の金融システムにとって重要な銀行として上乗せを義務づけられる資本などが、ドイツ銀行の不足額に含まれると、ゴールドマンのアナリストらが独自に計算。8日のリポートにまとめた。一方、ドイツ2位の銀行、コメルツ銀行はゴールドマンのテストに合格した。

  EBAのストレステストで2行は最も資本基盤の弱いグループに入ったが、EBAは今年のテストで合格・不合格の判定はせず、資本不足額も示さなかった。

  ゴールドマンによれば、投資家の不安に備える1%の追加バッファーを考慮するとドイツ銀の資本不足は67億ユーロに拡大する。ゴールドマンの計算ではフランスのソシエテ・ジェネラル、イタリアのウニクレディト、英バークレイズなど計8行の欧州銀行がこの基準をクリアできていなかった。

  ドイツ銀の広報担当者はブルームバーグの取材に対し、スチュアート・ルイス最高リスク責任者( CRO)が先月述べた発言を引き合いに出した。同CROはフランクフルター・アルゲマイネに対し、EBAのストレステストが「当面、増資の必要がないことを確認した」と述べていた。

……転載終わり

 こうしたことから、ドイツ銀行初の世界経済危機に発展する可能性が騒がれています。


ドイツ銀行の株価急落 世界経済全体の問題に発展する恐れも?

http://news.livedoor.com/article/detail/12037066/



 いま、ドイツが抱えているのはドイツ銀行だけではありません。政治的にも問題を抱えています。10年以上主将を務めるメルケル首相の支持率が難民問題で急落し、地方選挙では、極右政党ドイツのための選択肢(AfD)にメルケルの属するキリスト教民主同盟(CDU)に負けて、政治的に不安定になっています。


独メルケル首相の支持率急落59%→47% 難民流入、テロ続発影響か

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201608/CK2016080502000254.html

【ベルリン=共同】ドイツ公共放送ARDが四日公表した世論調査結果によると、メルケル首相=写真、ゲッティ・共同=の支持率が47%となり、七月の59%から12ポイント急落した。過去半年で最低の数字という。難民保護申請者によるテロが相次ぎ、内戦が続くシリアなどから大量流入する難民らの受け入れを決断したメルケル氏に対し、反発が強まったためとみられる。

 九月には二〇一七年秋の総選挙の前哨戦となるベルリン特別市(州と同格)議会選があり、支持率の低下が続けば、メルケル氏の権力基盤が弱体化するのは必至だ。


メルケル独首相、首都議会選でも敗北 右派躍進

http://jp.reuters.com/article/germany-election-idJPKCN11P0LX

[ベルリン 18日 ロイター] - ドイツの首都ベルリン特別市(州と同格)で18日行われた議会選では、メルケル首相率いる与党・キリスト教民主同盟(CDU)の得票率が前回から大幅に低下し、4日のクレンブルク・フォアポンメルン州議会選に続く大敗を喫した。

メルケル首相の難民政策が有権者によって拒否され、難民受け入れ反対を標榜する右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が約14%の票を獲得。これで16州のうち10州で議席を得た。

……引用終わり

 政治も経済も不安要素があるのは、ドイツもイタリアもよく似ています。きっかけはやはり難民受け入れ問題でしょうね。

 いま、世界の危機はどんな理由で、どこから生じるかさっぱりわからない状況にあります。原因はやはりリーマンショックのツケを金融緩和で先送りしたことと、緩和を続けた結果、金利が低下し、利ザヤで稼ぐ銀行のビジネスモデルそのものが破たんしつつあるせいでしょう。もし銀行が息を吹き返すとすれば、世界的な金融危機が起こり、金利が大きく上がった時かもしれません。そのとき、わたしたちは大きな痛みを支払うことになるでしょう。

 FOMCと日銀の総括はまとめて日本時間22日に内容が判明し次第、更新予定です。

にんじんスコール注意報

空からにんじんが降ってきてなにかが変わったらいいなと願っているブログ。 ……というのは冗談。 第三次世界大戦に関することや世界統一政府に向かう陰謀シナリオなどを予想したり、時事ネタなどを書いています。

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