『千と千尋の神隠し』と『君の名は。』の共通点と、日本人が抱える15年間解決されない願いとはなにか

 今週は『君の名は。』という、いま大ヒットしているアニメ映画について全5回で記事を書いていくつもりです。といっても、作品そのものを論じるのではなくて、作品がヒットする背景に日本のどのような社会状況があるのかということを考えるのが主となります。映画はそのための参考程度で、必要に応じて多作品などと合わせて論じていきます。

 はじめに、『君の名は。』という映画ですが、とにかく興行収入がすごい映画です。歴代の興行収入2位の『アナと雪の女王』以来の大ヒット作で、200億に到達しそうな勢いです。


新海誠監督『君の名は。』V7 興収145億円突破

http://www.oricon.co.jp/news/2079766/full/

 新海誠監督の長編アニメーション『君の名は。』が、全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)で7週連続1位を獲得。3連休でさらに数字を伸ばし、8月26日の封切り10月10日までに興行収入は累計145億6000万円を突破。歴代邦画アニメーション4位の宮崎駿監督作品『崖の上のポニョ』の155億円が射程内に入ってきた。

 同作は、夢で見た少年と少女の恋と奇跡の物語を、新海監督ならでの精緻な色彩と繊細な言葉遣いで描いていく。主人公の東京で暮らす男子高生・立花瀧(たちばなたき)の声を神木隆之介、ヒロインで山深い田舎町に暮らす女子高生・宮水三葉(みやみずみつは)を上白石萌音がそれぞれ務め、音楽をRADWIMPSが担当している。

 SNSで口コミが広まり、原作小説、サウンドトラックなど関連作品も好調で、舞台となった岐阜を訪れる“聖地巡礼”も話題に。作品に魅了されたリピーターが続出し、社会現象ともいえるブームとなっている。

……引用終わり


 7週目にして興行収入は145億を超えています。国内のアニメ映画で第5位の興行収入で、来週には『崖の上のポニョ』を抜いて、5番手になるでしょう。

 これは実は『アナと雪の女王』を超えるペースです。『アナ雪』は7週目で121.1億なので、現時点で24.5億上回っています。さすがに、1位の『千と千尋の神隠し』は7週目で170億ですから、抜くことはないと思いますが、ジブリでもディズニーでもなく、そしていわゆる映画が売れるシーズンを外れているにも関わらずこの推移は十分社会現象と呼ぶにふさわしい出来事です。↓参考記事リンク。

【異常事態】映画「君の名は。」の興行収入グラフが異常、東宝予想の10倍(200億円)も視野に

http://www.watch2chan.com/archives/49633148.html


 もう一つ重要なのは、この映画が10代から30代の若者、特に女性に圧倒的に支持されており、リピーターが相当数いるということです。

 恥ずかしながらわたしも9月の終わりごろに見てきたのですが、リピーターになる人の気持ちも分からなくはありません。ただ、個人的にわたしは泣けませんでした。

 映画を見てからずいぶん経ってから書く気になったのは、わたしがこの映画ではなく、映画を支持する人たちと、それを支持する社会に興味があったからです。特に、最近の若者の7割は自民党を支持しているらしいので、わたしには彼らがなにをいいと感じているのかを知りたいと思っていました。


 第1回目の本日は、アニメ映画興行収入が300億を超えて断トツの1位を記録した宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』と『君の名は。』の偶然とは思えない共通点についてです。

 視聴済みを前提に話をしますので、わからない部分があって、映画を見る気がないひとはネット上のネタバレを読みつつ読むことをお勧めします。個人的には払った値段以上の価値はあったと思っていますので、見に行くのもいいとは思いますが、当ブログの読者がああいう映画を見に行くかどうかわからないので、お任せします。

 とはいえ、今回の記事は映画の内容そのものに軽く触れるだけでほとんど設定の話なので知らなくても問題はありません。


・立花瀧とハクはどちらも水に関係する白っぽい龍

 『君の名は。』の主人公の一人は立花瀧という不思議な名前がついています。

 名前の瀧という字、これは水へんに龍です。それを思い出したのが『千と千尋の神隠し』のハクです。ハクは実は龍であり、本名はミギハヤミコハクヌシで、彼は琥珀川という川の神様でした。ハクという名前からわかるように、彼は白っぽい姿をしています。『君の名は。』の瀧も線が細く、肌も白っぽい点で似ています。

 つまり、なぜかわからないけれど、日本アニメ映画で大ヒットした2作の男の子は水に関係する白っぽい龍を思わせる共通したイメージがあるといえるのです。これは果たして偶然の一致でしょうか? いくらなんでも超ヒット作の男の子がどちらも龍と水に関係するなんてできすぎています。そこにはなにか意図が隠されているはずです。

 龍というのは古来神として崇められる存在でした。デーヴィッド・アイクの『竜であり蛇である神々』には、わたしたちの持つ神話では神々が竜や蛇として崇められてきたことが明らかにされています。ちなみに、デーヴィッド・アイクは「世界は爬虫類的宇宙人(レプティリアン)に支配されている」と考える陰謀論者なわけですが、この爬虫類的宇宙人(レプティリアン)という奴、普段は人間の姿をしているのだけれど、蛇や竜のような爬虫類に変身するのだそうです!

 ここで思い出した人もいると思いますが、『千と千尋の神隠し』のハクは普段は人の姿をしていますが、本体は龍です。デーヴィッド・アイクの話とかぶるところがあります。

 では、立花瀧もレプティリアンなのでしょうか? ここは『君の名は。』を好意的に見ている人もいる可能性を考慮して、とりあえず関係ないだろうということにしておきます。けれども、作中内の2人の少年少女が龍と水と関係していることは否定できません。

 『君の名は。』のヒロイン、宮水三葉もこれまで偶然ですが、なぜか苗字に水という字があります。加えて、彼女は巫女さんです。巫女さんは神の遣いですよね。神の遣いである巫女さんと、瀧という龍と水へんを持つ立花瀧がつながる運命の相手だって? これが偶然の一致である、そんなことがありえるのでしょうか?

 ええ、もうおわかりでしょう。これは完全に狙って設定を作っています。つまり、立花瀧が龍蛇に変身するかどうかはともかく、龍と水の名前がつく男の子と、水の苗字を持ち、神と関わりのある巫女の女の子が入れ替わるのには必然性があるということです。

 本作について、なぜ立花瀧と入れ替わるのかという点に疑問を持った人もいると思いますが、ここまで言えばなぜ瀧でなければならなかったのかがおわかりでしょう。2人は間違いなく運命の相手です。水の龍神と関わるご縁を持つ神聖な関係なのです。千尋とハクのつながりのように(確か千尋が琥珀川に落ちて、ハクが助けたという縁だったと思いますが、2人は忘れて、後で再会しています。ちょうど、『君の名は。』で彗星から人々を救うために入れ替わった2人がその時の記憶を忘れて再会するように……)。


・名前を探すというテーマの類似性

 いま議論していた問題こそ、『千と千尋』と『君の名は。』から解読するべきメインテーマだったとわたしは考えています。

 『千と千尋』の千尋は自分の名前を失うと同時に両親を豚にされてしまったところから、ハクに導かれて失ったものを取り戻すまでの物語とえいます。千尋は、最後、名前を忘れていたハクの名前を呼んで、ハクは自分の正体を自覚します。

 『君の名は。』は、タイトルからわかるように、名前がテーマのメインです。入れ替わりという設定を用いて自分が誰で、相手が誰であるかを探求する物語と言えます。いわゆる自己同一性を異性との交わりから探す、それが『君の名は。』のメインテーマです。ネット上の参考記事をつけておきます。

映画「君の名は。」実はエロスを象徴?心理学者が裏から読み解く

http://www.mag2.com/p/news/222082


 それにしても、なぜどちらも少年少女の名前がメインテーマになっているのか、この奇妙な一致をどのように考えたらいいのでしょうか。

 細かい違いはあります。『千と千尋』では自分の名前が分からなくなって、過酷な職場で働かされているが名前を思い出してそこから抜け出すけれども、『君の名は。』では、体が入れ替わって相手に名前を尋ねるという違いが……。でも、どちらも名前が重要であるというメインテーマの部分はほとんど同一といっていいものです。

 前者は、奴隷としてこき使われている少女が、ハクという運命の相手を見つけて、名前を取り戻す物語と言えます。

 わたしは、実はこれ、いま日本人が置かれている状況を表しているんじゃないか、なんて少し考えてしまいました。

 日本人は「自分たちは本当の名前を失っていて、自分が誰かを自覚していない。そして、それは自分以外の誰か(運命の相手)が知っているはずだ」と思い込んでいるようなのです。それがかなり根源的なレベルで観客に訴えかけてくるので、『千と千尋』と『君の名は。』はこれだけヒットしたと考えるしかありません。

 『千と千尋』の場合、その名前を思い出せない限り、奴隷的状態から抜け出せないということが描かれています。『君の名は。』の場合は、自分の名前はわかるけれど、運命の相手の名前がわからないという話です。

 ここからわかるのは、日本人は自分の名前を実はよく理解しておらず、そして運命の相手の名前もまた知らない、思い出せない状態に置かれているということです。それが奴隷的な状態や、恋愛に興味がない若者を作り出している原因だとこの2作は暗示しているのかもしれません。そして、映画の観客は、この映画の中に出てくる運命の相手、自分の名前と正体を思い出させてくれる運命の相手を探し出すために何度も映画館に足を運びたくなってしまうのでしょう。このように考えれば、リピーターが多い理由も説明できそうですね。

 思い出せない何者かであるはずの自分、それを探す旅。それこそ『千と千尋』と『君の名は。』に隠された共通点であり、『千と千尋』がヒットしてから15年たってもなにも変わっていない、依然として奴隷的で、運命の相手と巡り合えずに本意ではない人を支持せざるを得ない日本の停滞した状況を表しているのではないでしょうか。

 日本人が奴隷的で、恋に興味を持てない、それゆえにそこからの解放をどうしても求めてしまい結果映画にどっぷりとはまり込む原因についてはこれからじっくり語っていきたいと思っています。


では、また あした

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空からにんじんが降ってきてなにかが変わったらいいなと願っているブログ。 ……というのは冗談。 第三次世界大戦に関することや世界統一政府に向かう陰謀シナリオなどを予想したり、時事ネタなどを書いています。

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