12月4日実施のイタリア憲法改正の内容と争点

 本題に入る前に、12月利上げ前の重要指標とされるアメリカの11月雇用統計の数字を確認しておきましょう。非農業部門雇用者数は、20万人増で好調とみなされており、11月の市場予想は17~18万前後でした。

 そして、実際に発表された11月の非農業部門雇用者数が17万8000人増と予想通りでしたが失業率は4.6%と市場予想を大きく下回る数字となりました。ただ、9月、10月分の雇用者数が下方修正されました。また、時間当たり平均賃金は前年比2.5%増と、市場予想の2.8%増を下回っており、今後は賃金がどれだけ上昇するかが利上げペースと関わってきそうです。

 すでに12月の利上げは既定路線ですが、問題は来年以降の利上げペースで、トランプしだいでペースは多少影響すると思われています。数字がよければ利上げペースを速めると予想できたのですが、数字が微妙なので先の見通しは不透明です。


 さて、本題に入ります。12月4日はイタリア憲法改正の国民投票が行われます。イギリスEU離脱並みの接戦であれば、現地時間5日の午前1時ごろに判明するということですので、明日の記事までに結果が出ない可能性があります。最初に投票の概要です。


情報BOX:憲法改正に関するイタリア国民投票の概要

http://jp.reuters.com/article/italy-referendum-details-idJPKBN13Q3B2?sp=true

[ローマ 30日 ロイター] - イタリアで12月4日、上院の権限縮小などを含む憲法改正案の是非を問う国民投票が実施される。憲法改正案を推進してきたレンツィ首相は、否決された場合には辞任する意向を示している。

国民投票の概要は以下の通り。

- 有権者は約5200万人。このうち400万人強が海外居住者。

- 投票時間は4日午前7時(0600GMT)から午後11時。

- 投票が締め切られ次第、現地のテレビ局が出口調査の結果を発表。出口調査はテレビ局ごとに異なる調査会社が担当する。

- 開票作業は投票締め切り直後に始まる。開票から約30分後に開票結果に基づく最初の予測が示される。結果予測は出口調査を行った調査会社が担当し、およそ30分ごとに更新される。

- 「賛成」と「反対」の票差が大きい場合、現地時間5日午前0時から1時(0000GMT)に示される2回目の予測で結果が判明する可能性が高い。

- 「賛成」と「反対」の票差がわずかである場合、票の集計が完了する午前2時から3時ごろまで結果が判明しない可能性がある。

- 投票用紙にある質問文:

「あなたは2016年4月に議会が承認し、官報第88号で公布された、1)上院と下院に対等の権限を付与することの廃止、2)議員数の削減、3)政治制度の運営コストの抑制、4)経済労働全国評議会(政府の諮問機関、Cnel)の廃止、5)憲法第2部第5章の変更に関する憲法改正案を承認しますか」

レンツィ首相に反対する勢力は、この質問が憲法改正の内容を正確に反映しておらず、「賛成」への投票を誘導するものだと強く非難していた。

……転載終わり


 では、イタリア憲法改正ではなにが争点になっているのでしょうか? 改正の内容と問題点を見てみましょう。過去記事から一部引用します。


乗せられてはいけない世界的な改憲ブームの危険2~イタリアファシズムの前兆?~

https://ninjinchuihou.amebaownd.com/posts/1114875

イタリア憲法改正で国民投票へ、否決されれば辞任と首相

http://jp.reuters.com/article/italy-politics-referendum-idJPKCN10J212

 4月に上下両院で可決された改正案は、上院の権限を大幅に縮小する。上院議員の数を315人から100人に削減するほか、予算の承認権限もなくなる。不信任決議で政権を打倒することもできなくなる。上院は国家レベルではなく、地域の課題を監督することになる。中央政府の権限が増すことで、国内の20州の環境や交通、エネルギーなどに関する権限が減る。

 下院には2段階方式の新たな投票方式を導入する。レンツィ首相は、上院の改革と合わせてこうした変更によって、イタリアはようやく統治可能な国になるとしている。

 これに対し、移民受け入れ反対派の北部同盟など野党は、ムッソリーニのような独裁者が再び出現することを防ぐために、第2次世界大戦後に導入された民主的なチェック機能を奪い去るものだと反対している。

……引用終わり


 改憲案の内容、すごいことが書いてありますね。

 上院の権限を大幅に縮小する。上院議員の数を315人から100人に削減するほか、予算の承認権限もなくなる。不信任決議で政権を打倒することもできなくなる。上院は国家レベルではなく、地域の課題を監督することになる。中央政府の権限が増すことで、国内の20州の環境や交通、エネルギーなどに関する権限が減る。

 記事にあるとおり、これはムッソリーニ再来を目指した内容といえるでしょう。ファシズム政権が最初に成立した国イタリア、とうとう本当にやばくなっているようです。国民投票は今年の10月ですが、イタリア国民はなんとか否決してほしいです。

 それにしても、なぜイタリアの政権はこんな改憲を目指しているのでしょうか? おそらく、イタリアの経済が本当にやばいからでしょう。日本の景気縮小も明らかになっていますが、イタリアはモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行という爆弾を抱えていて、ストレステストの結果がやばいので、独裁で国民の反抗を押さえつけるつもりなのでしょう。そういう点では、ムッソリーニの時と少し違います。いわゆるポピュリスト的な政治が行われた結果というより、権力者が権力を維持するための事前措置なのです。


 引用以上。

 イタリア憲法改正の国民投票が近づいてきたことで、なぜかドイツ銀行の株価が下がったりもしていて、政治が経済に影響を与えている典型です。

 ドイツ銀行の問題と関連して、イタリアの金融機関にも問題が広がっていた時期がありましたが、ドイツ銀行の賠償の問題が沈静化すると(解決したかどうか報道がないので不明)、イタリアの金融機関の問題もひとまず落ち着いていました。

 それが、イタリアの政治不安と関連してイタリア国債の金利を上昇させています。


欧州債(2日):イタリア国債が大幅上昇-国民投票を4日に控え

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-02/OHKGLJ6S972K01

 2日の欧州債市場ではイタリア国債が大幅に上昇した。4日に行われるレンツィ首相の進退を問う国民投票が注目されている。

  イタリア10年債利回りは前日比15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し1.9%となった。同年限のスペイン国債利回りは7bp下げ1.55%、ドイツ国債利回りは9bp下げ0.28%。

……転載終わり


 なぜ政治が経済に影響するのかというと、改憲が否決されてレンティ首相が辞任し、総選挙で右派が台頭するなどした場合、将来の予測が困難になり、最終的にはヨーロッパ全体を巻き込む政治的混乱と経済的混乱へと発展する危険があるからです。加えて、イタリアの政治の力が弱体化すれば、破たん状態にあるモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行をはじめとする主要銀行が破たんすることになるでしょう。

 市場の反応は好ましいものとは言えませんが、イタリアでなにが起きた場合でも、ブレクジットのような株価の大暴落は起こらないでしょう。今年だけで2度も大きな読み間違いをした市場は、イタリアの政治リスクをすでに織り込み済みとみられています。

 現実的にあり得るのは、改憲が否決された直後に株価がやや下がり、その後反転することなく下がり続けていくという未来です。そして、イタリアからヨーロッパ全体の金融危機につながる導火線の火をつけて、近未来に起こるべきことが起こるでしょう。

にんじんスコール注意報

空からにんじんが降ってきてなにかが変わったらいいなと願っているブログ。 ……というのは冗談。 第三次世界大戦に関することや世界統一政府に向かう陰謀シナリオなどを予想したり、時事ネタなどを書いています。

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