世界同時株安と、1日で3.6兆円吹き飛んだ年金運用の問題点

 今日は世界恐慌に対応できない理由について話すつもりだったのですが、今回の暴落が別の場所で波紋を呼んでいるので、その問題について書くことにして、世界恐慌の話は次回に回すことにします。

 ネットでは、伊勢志摩サミットで「リーマンショック級の事態」について安倍が語っていたことから、「予言者だ」なんだと叫んでいる愚か者がいますが、わたしだって今年の秋までに世界恐慌が来ることくらい知っています。安倍が予言者なら、わたしも予言者ですね。今年の年初の世界同時株安を当てたんですから。

 もちろん、安倍が予言者かどうかというのはどうでもいい問題です。最大の問題は安倍政権がリーマンショック級の事態に前もって対処するべきだと言っておきながら、伊勢志摩サミットで具体的な合意を得られず失敗したということです。

 あの失敗したサミットの話を蒸し返すのもあれですが、安倍は伊勢志摩サミット前にG7諸国をめぐって財政出動を求めたのに冷たくあしらわれた、このことの方が深刻な問題だと思います。これは、日本の総理のいうことが国際社会で信頼をすでに失っているという証拠だと思います。少なくとも、「予言者だ」などともてはやすような流れではありません。


 安倍晋三が宗教指導者ならば(笑)、「わたしは予言していた」といえば評価されてもいいかもしれませんが、国政を預かる行政府の長なんですから、知っていたなら事前に対策を打つべきだったし、できる立場にあったはずです。それに失敗している以上、結果として安倍は失敗したと言わざるを得ないでしょう。

 そんな役立たずをほめそやしても、なんの得もありません(自民党が参議院選挙で議席を増やして憲法改正を実現したいと願っている連中以外には)。

 それと同時に、今回の暴落でGPIFが株式市場に投入していた年金が溶けてしまったという話が出ています。

 民進党の玉木さんによると、

 「NYダウの数値を使って、GPIFの外国株式の運用について同じ計算をすると約1.7兆円の運用損が出ていることになる。よって、国内株式の損1.9兆円と外国株式の損1.7兆円を合わせると、昨日一日だけで、GPIFは約3.6兆円規模の巨額運用損を出した計算になる。」らしいです。

https://twitter.com/tamakiyuichiro/status/746564270528176130?ref_src=twsrc%5Etfw より。

http://jishin-yogen.com/blog-entry-8714.html

 まあ実際の数字はもう少し違うものになると思いますが、全世界でも210兆円が吹き飛んだといわれているくらいですから、年金が3.6兆円吹き飛んでいてもおかしくはないですよね。


 世界の株式市場、215兆円失う 英EU離脱派勝利で株安

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160625-00000017-jij_afp-bus_all


 さてここからが年金損失の話ですが、いま、国民年金を運用しているGPIFという世界最大の機関投資家がいたのですが、これが2014年の10月から安倍政権の株価つり上げ政策のために、従来の国内外の株式の保有割合25%を倍の50%に引き上げました。

 以後、株価が上がると以前の倍の利益が出るようになった代わりに、損失も倍出るようになりました。しかし、2014年9月末時の日経平均株価16173円と比べても大幅に値下がりしていますから、この政策転換は大失敗だったということになります。

 政治は結果責任ですから、結果が出ない以上批判されるのは当たり前のことです。

 ほかにも、例年であれば今年1~3月分のGPIFの運用損益を6月終わりごろに公表するはずだったのですが、なぜか参議院選挙後の7月の終わりにしてしまいました。もう一つ付け加えておくと、愛媛の伊方原発の再稼働も参議院選挙後に先送りされています。

 とまあ、ちょっと触れただけでも問題があるのですが、最大の問題点は年金が3.6兆円吹き飛んだといわれても、どれくらいの金額なのか見当もつかない、巨額すぎて庶民感覚からかい離していてわかりづらいということです。

 今回は、今年の2月ごろ、2015年7~9月期に、GPIFが7.9兆円の損失を出したときに書いたものを載せることにします。これで少しでもイメージを持っていただければと思います。

 以下、そのまま貼り付けます。


 GPIFの損失7兆とか8兆とか言われてもピンと来ない人のために~1年間で収められている国民年金額を計算してみた~

 GPIFの7~9月期の損失が7.9兆円と言われてもピンとこない人のためによいわかりやすい数字に置き換えてみようと思う。GPIFは国民年金の積立金を運用しているので、国民年金の納付額と比べてみればわかりやすいはずだ。その前に寄り道して、納付率について考えてみたい。

国民年金保険料の納付率推移(厚生労働省)

 日本には複数の年金制度があるが、GPIFが運用している国民年金基金はすべての国民と関係がある基礎的な年金である。

 満額納めると月々約6万少しがもらえる保険金を受け取るために、月1万5590円を納めている(平成27年度)。しかし、実際に納めている人の割合は年々低下している。厚生労働省のデータによると国民年金納付率は2011、12年度と連続して60%を割っていたが、2013年度には60.89%と上昇したそうだ。


1986年度 国民年金保険料の納付率 82.5%

1987年度 国民年金保険料の納付率 83.7%

1988年度 国民年金保険料の納付率 84.3%

1989年度 国民年金保険料の納付率 84.7%

1990年度 国民年金保険料の納付率 85.2%

1991年度 国民年金保険料の納付率 85.7%

1992年度 国民年金保険料の納付率 85.7%

1993年度 国民年金保険料の納付率 85.5%

1994年度 国民年金保険料の納付率 85.3%

1995年度 国民年金保険料の納付率 84.5%

1996年度 国民年金保険料の納付率 82.9%

1997年度 国民年金保険料の納付率 79.6%

1998年度 国民年金保険料の納付率 76.6%

1999年度 国民年金保険料の納付率 74.5%

2000年度 国民年金保険料の納付率 73.0%

2001年度 国民年金保険料の納付率 70.9%

2002年度 国民年金保険料の納付率 62.8%

2003年度 国民年金保険料の納付率 63.4%

2004年度 国民年金保険料の納付率 63.6%

2005年度 国民年金保険料の納付率 67.1%

2006年度 国民年金保険料の納付率 66.3%

2007年度 国民年金保険料の納付率 63.9%

2008年度 国民年金保険料の納付率 62.1%

2009年度 国民年金保険料の納付率 60.0%

2010年度 国民年金保険料の納付率 59.3%

2011年度 国民年金保険料の納付率 58.6%

2012年度 国民年金保険料の納付率 59.0%

2013年度 国民年金保険料の納付率 60.89%


 しかし、この納付率というやつからは年金保険料免除と年金保険料猶予が除かれていた。年金納付を免除、猶予されている人も払っていることにして計算しているので、実際に支払われている分はもっと少ないのだ。それを河野太郎が補正した数字は以下の通り 。


2007年度 国民年金保険料納付率の真相 47.3%

2008年度 国民年金保険料納付率の真相 45.6%

2009年度 国民年金保険料納付率の真相 43.4%

2010年度 国民年金保険料納付率の真相 42.1%

2011年度 国民年金保険料納付率の真相 40.8%

2012年度 国民年金保険料納付率の真相 39.9%


 つまり、納付するべき人の4割しか収めていないことがわかる(ちなみにわたしは若年者納付猶予に該当するので、60.89%から引き算をした数字の中に含まれている)。


 納付月数による1年間の納付額の計算

 平成25年度の納付月数は8817万月であり、前年、前前年度の追加納付を加えると9935万月となる (この数字は少子化で年々減少傾向にあるので、27年度はもっと低い)。

 ここから国民年金の1年あたりの納付額を計算してみようと思う。単純に年度当たりの納付月数に月あたりの納付額をかけると、1年度当たりの納付額が計算できるはずだ。

 この計算法によると、

8817万×15590円=1兆3745億7030万円、となる。

 追納を含めると、

9935万×15590円=1兆5488億6650万円、となる。

 つまり、日本の国民年金納付対象者が1年で納める額は、国民年金で1.34~1.55兆円と計算できる。

 これがわかれば、冒頭の8兆とか、7兆という数字はどの程度の数字なのかが判明する。対象者は1年で1.34~1.55兆円を納めているが、7.9兆はその5年半分ということになる。毎年こつこつためてきた積立金の5年分は無責任な、安倍政権が株高に見せかけるために2015年7~9月期のわずか3カ月で5年半分の巨額が失われた計算になる。今後も株価が下落すればその損失幅は広がるだろう。

 GPIFの損失を短期的に見ても意味がないというのはその通りだが、長期的に見てみても……


 公平性を保つために一応言っておくと、7月~9月は確かに8兆円(5年半分)の損失がでたが、翌月には日経平均株価が17000円割れから、19000円まで2000円近く回復して、11月27日時点では20000万円近くまで回復して7.2兆のプラスとされたが(朝日新聞2015年12月1日)、その後年末にかけてやや下落した結果、10~12月期は4兆7302億のプラスとなった。しかし、そこから2月終値は約16000円と昨年末から3000円下げて8.3兆円ほどの損が出たと考えられる 。

 昨年6月の終値20235円から2月末までの間に16000円ほどに下落(世界の株式も同様の動き)。結局、3月初頭現在の年金の積み立ての運用はGPIFがポートフォリオを変更した2014年10月以来、マイナスになっていると考えられる。

 それも2011年以降の株価の上昇のために、年金の積立金が安倍政権成立前に戻っているわけでもない。2013年からのトータルではかろうじてプラスだろう。だが、それも今後の下落によって吹き飛ぶ公算が高い。

 2014年10月から2015年11月までGPIFは一貫して株式を買い続け、株価上昇を目指す安倍政権を助けてきた。ポートフォリオ変更前の日経平均は1万61173円。買い始めて最初の10月末は16413円。以後、買い増した2015年11月までの数字を平均していくと、この期間毎日同額購入したと計算した場合、株価の下落でマイナスが出る株価の水準が求められる。計算上、18786円となる(12月末までとすると18697円)。つまり、18786円を下回ると、2014年10月以降の日本株による運用で損が出る可能性があるということだ。とはいえ、この計算には株式配当が含まれていない。株式配当をあてこめば、もう少し株価が下がっても損失にはならないだろう。海外の株価も下がっているが、一方半分を債権で運用していることを考えれば、すぐには運用でマイナスとはならない。

 それでも、株価がさらに1000円以上下がれば、つまり、17786円を割れば、2014年10月以降の通算で運用赤字となるのは避けられないだろう。

 2016年2月末現在の株価16000円はこの水準を確実に下回り、通算で損失が出ていることは否定しようがない。

 日銀の予測では今後の年金の損失は最悪の場合21兆円、株価は14000円代がありうるとする内部資料が暴露されている(14000円を割れば損失はそれ以上になる可能性があるということだ)。これはもう計算するのもおぞましい額だ。国民年金の11~14年分の納付額に相当する。いまの30代が年金を納め始めてからすべてふっとんだくらいに考えておけばいい。

 年金記録の情報漏れは、ただ支払額が減らされる危険があるだけだったが、年金がこれほど損失を出せば今後の支給額に大きなマイナスの影響が働くことは避けられないだろう。最初の数年は影響がなくても、いずれ大幅な支給額引き下げや、年金支給開始年齢の引き上げがやってくることは確実だ。2月15日の答弁で、安倍首相は年金の支給額減額もあり得ると発言している。

 いまさえ良ければいいという官僚と政治家の無責任さによってこのような事態が進行している。世界経済はすでに景気後退期に入っており、GPIFは決して安くない値段で株式を買ってしまった。2016年の大幅損失はすでに決定したようなものだ(アベノミクスの株高での利益は運用益は吹き飛び、年金積立額は安倍政権成立後最低になる)。値下がりはその地点まで株価が回復しない限り戻らない。だが、仮に株価が戻ったとしても、その時には積立の取り崩しが行われていて、いまは積立を取り崩す段階に入っている。そのため株価が戻っても元通りの金額には戻らない。


 ……以上、過去に書いたものの掲載。


 イギリスEU離脱の影響で、株価は15000円を割ってしまいましたから、安倍政権が年金運用における国内外株式の保有割合を25%から50%に引き上げてからはマイナスということで、溶けた年金について安倍政権の責任はまぬかれないでしょう。今後、プラス転換する見込みは、これから1~2年の間はないと思います。

 まだ、リーマンショック前でこれですから、本当に年金が半減するときが来るかも知れません。あまり考えたくはないのですが……。


では、また あした

にんじんスコール注意報

空からにんじんが降ってきてなにかが変わったらいいなと願っているブログ。 ……というのは冗談。 第三次世界大戦に関することや世界統一政府に向かう陰謀シナリオなどを予想したり、時事ネタなどを書いています。

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